自動車保険に付帯する「ロードサービス」は、事故や故障などのトラブル時にドライバーをサポートする重要なサービスです。
その中でも利用頻度が高く、実際の緊急時に大きな助けとなるのが「レッカー移動サービス」です。
走行中に車が動かなくなった際、専門のレッカー車が現場まで駆けつけ、修理工場などへ搬送してくれる仕組みです。ここでは、レッカー移動サービスの内容や利用条件、注意点を詳しく解説します。
レッカー移動サービスの基本概要
自動車保険のロードサービスの中でも「レッカー移動サービス」は、トラブル発生時にドライバーを直接支えてくれる最も実用的な補償のひとつです。
事故や故障によって車が動かなくなった場合に、レッカー車が現場まで出動し、修理工場や指定場所まで安全に車を搬送してくれるサービスです。
特に高速道路や遠方でのトラブル時には、このサービスの有無が安心感を大きく左右します。
レッカー移動サービスとは
レッカー移動サービスとは、事故・故障・トラブルなどで車が自力走行できなくなった際に、レッカー車で修理工場や指定場所へけん引・搬送してもらえるサービスです。
自動車保険のロードサービスに標準付帯されているケースが多く、利用時の費用は無料または一定距離まで無料とされています。
主な目的は、自走不能となった車を安全に移動し、二次的なトラブル(交通の妨げ・二次事故など)を防ぐことです。
【サービスが利用できる主な場面】
レッカー移動サービスが適用されるのは、以下のような状況です。
- 事故で車が損傷し、走行不能になった場合
- エンジントラブルやバッテリー上がりなどにより自走できない場合
- タイヤや足回りの破損により安全走行ができない場合
- 冠水や落石など、自然災害による故障・停止
- 法令上「走行不適合」と判断される車両状態
「走行不可能」「修理が必要」といった状態が条件であり、単なる軽微な損傷(例:擦り傷・軽度のバンパー破損)は対象外です。
搬送先の種類
レッカー移動の搬送先には、次のような選択肢があります。
- 保険会社提携の指定修理工場(距離無制限が多い)
→ 無料で搬送できるケースがほとんど。修理手配もスムーズ。 - 契約者が指定する修理工場または自宅(距離制限あり)
→ 50km・100km・150kmなど、保険会社ごとに無料範囲が異なる。
無料範囲を超えた場合には、超過距離分に応じて別途料金が発生します。
無料搬送距離と費用の仕組み
保険会社によって設定は異なりますが、一般的な無料搬送の目安は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指定工場まで | 無制限または実費無料 |
| 契約者指定工場まで | 50〜150km程度無料 |
| 上限金額制の場合 | 1回あたり15万円前後まで無料 |
また、搬送距離に加えて、夜間・高速道路上での作業などは別途料金が発生することがあります。
【利用方法】
レッカー移動サービスを利用する際は、次の手順を踏むのが基本です。
- 保険会社のロードサービス窓口へ連絡
- 現場の場所・状況・車両の状態を伝える
- 保険会社が提携レッカー業者を手配
- レッカー車が現場に到着し、搬送を実施
注意すべき点は、自己判断でレッカー業者を呼ばないことです。
保険会社を通さずに業者を手配した場合、費用が全額自己負担になる可能性があります。
利用できる時間とエリア
多くの保険会社では、24時間365日対応のロードサービスを提供しています。また、全国対応が基本で、地方・高速道路・山間部でも出動可能です。
ただし、悪天候や災害発生時などは到着までに時間がかかる場合があるため、早めの連絡が大切です。
【サービス対象車両】
レッカー移動サービスの対象は、契約している車両に限定されます。
- 自家用乗用車・軽自動車などは対象
- 商用車・営業車・車検切れ車・違法改造車などは対象外
- 他人の車(他車運転特約対象車)については、保険会社により可否が異なる
契約名義と車両登録名義が異なる場合は、利用に制限がかかる場合もあります。
レッカー移動サービスの特徴
- 費用負担が軽い:指定範囲内なら無料で利用可能
- 迅速対応:保険会社の提携ネットワークによる全国即応体制
- 安全確保:高速道路や交通量の多い道路でも専門業者が安全に対応
- 等級への影響なし:レッカー利用だけでは等級ダウンしない(ノーカウント事故扱い)
保険会社によっては、レッカー移動に加えて以下のような付帯サポートもあります。
- バッテリー上がり時のジャンプスタート
- ガス欠時の燃料補給(ガソリン10Lまで無料など)
- 鍵の閉じ込み対応
- スペアタイヤ交換・脱輪引き上げなど
レッカー移動サービスは単体ではなく、総合的なロードアシスタンスの一部として機能しています。

利用できる主なケース
自動車保険に付帯している「レッカー移動サービス」は、車が自力で走行できなくなったときに利用できる非常に重要なサポートです。
ただし、どんな場合でも使えるわけではなく、「走行不能」と判断される明確な条件があります。
ここでは、レッカー移動サービスが実際に利用できる主なケースを、事故・故障・自然災害などの状況別に詳しく解説します。
交通事故で車が走行不能になった場合
レッカー移動サービスが最も多く利用されるのが、事故による走行不能のケースです。
- フロント部分が大きく損傷し、ハンドル・タイヤ・足回りが動かない
- エアバッグが作動し、走行安全性が確保できない
- ラジエーター破損・エンジンルーム変形によりエンジン始動不可
- ボディ損傷によりドアが閉まらない・車体が歪んで走行困難
このように、物理的に走行できない場合や、安全上の理由で運転を続けられない場合はレッカー搬送の対象です。
事故現場から最寄りの修理工場や保険会社指定の整備工場まで、無料または距離制限付きで搬送してもらえます。
故障によってエンジンが始動しない場合
事故ではなく機械的な故障による走行不能も、レッカーサービスの対象です。
- エンジンがかからない(スターターモーター・点火系統の故障など)
- オルタネーターの不具合による電気系統停止
- ミッション(変速機)の故障でギアが入らない
- 燃料ポンプ故障によるエンジン停止
- ベルト切れや冷却装置の破損で安全走行不能
現場で応急処置が可能な場合(例:バッテリー上がり)は「応急対応」で解決することもありますが、それでも復旧しない場合にはレッカー搬送が行われます。
タイヤや足回りの損傷による走行不能
道路上でのトラブルの中でも多いのが、タイヤ・足回り系の破損です。
- タイヤが2本以上同時にパンクしてスペア交換ができない
- ホイールの損傷・ハブボルト破損によりタイヤが装着できない
- サスペンションやアームの変形による走行不能
- 落下物との接触で足回り部品が破損
1本だけのパンクでスペアタイヤ交換が可能な場合は、レッカーではなく「現場対応」で解決されることが多いですが、複数箇所の損傷や車体の傾きがある場合は搬送となります。
バッテリー上がり・電気系統トラブル
単なるバッテリー上がりは、通常はジャンプスタートなどの応急対応で解決されます。
しかし、電装系統全体が故障してエンジンが再始動できない場合や、再始動後も電力供給が不安定で走行に危険が伴う場合には、レッカー移動の対象になります。
- バッテリー交換後も再始動できない
- 発電機(オルタネーター)が故障し、走行中に電力供給が止まる
- 配線ショート・ヒューズ損傷で車両機能が停止
冠水・落石・雪害などの自然災害による停止
自然災害によって車が動かなくなった場合も、レッカー搬送が必要になります。
対象となるケース:
- 冠水道路を走行中にエンジンが水没・停止
- 落石・倒木による車体損傷
- 大雪・凍結によるスタック(脱出不能)
- 台風・強風で車体が損傷し、走行不可能
ただし、「地震・津波・噴火」などの災害は多くの保険会社でロードサービスの対象外です。
水害や雪害などのレッカー搬送は可能でも、修理費用の補償は車両保険の契約内容に依存します。
交通違反・事故後の安全確保が困難な場合
車が動く状態でも、安全に運転を続けられないと判断される場合には、レッカー搬送が適用されることがあります。
- エアバッグ作動後に安全走行が困難
- ライト・ウインカー・ブレーキランプが破損して夜間走行不可
- ボディが変形してタイヤが干渉する
- フロントガラス破損により前方視界が確保できない
このように「法令上の走行不適合」と判断される場合は、実際に走行できてもレッカー対象となります。
高速道路上でのトラブル
高速道路では、走行不能状態の車両を放置することは極めて危険です。
そのため、レッカー移動サービスは優先的に適用されます。
- エンジン故障・燃料切れ・パンクによる停止
- 事故や追突による車体損傷
- スリップ・ガードレール接触による走行不能
この場合、NEXCO指定業者または保険会社提携業者が現場対応します。
高速道路上でのレッカー作業には特別作業料が発生しますが、保険会社によってはこれも補償対象に含まれます。
鍵の閉じ込み・燃料切れ・応急処置不能時
- 鍵を車内に閉じ込めてエンジンを停止してしまった場合
- ガス欠後に燃料補給を受けても始動しない場合
- 応急処置では安全に走行できない場合
こうした「軽度トラブルからの派生的な走行不能」も、レッカー移動の対象になります。
脱輪・転落・スタックなどの走行不能
道路脇への脱輪や雪道・砂利道でのスタックなど、車が物理的に動けない状態も対象です。
- 前輪・後輪の片側が溝に落ちた
- 砂地・雪道でタイヤが空転して動けない
- 段差や縁石に乗り上げて車体が浮いている
この場合はレッカー搬送またはウインチ引き上げ作業が行われます。
「車体損傷がない脱輪」でも、走行不能であればサービス対象になります。
【上記以外の特殊ケース】
- 道路冠水後の安全確認のための搬送
- 事故後、修理工場までの移動を希望する場合
- 故障箇所の特定が困難で、安全上の理由から運転を中止した場合
このような「自己判断による安全確保目的の搬送」も、保険会社によっては柔軟に対応してもらえることがあります。


補償内容と無料範囲
自動車保険のロードサービスに含まれる「レッカー移動サービス」は、走行不能時に車を修理工場や指定場所まで搬送してくれる重要なサポートです。
しかし、保険会社によって無料搬送距離や補償金額の上限が異なるため、契約内容を正確に理解しておかないと、思わぬ自己負担が発生することもあります。
ここでは、レッカー移動サービスの補償範囲・無料距離・上限金額などを詳しく解説します。
レッカー移動サービスの基本補償内容
レッカー移動サービスでは、事故や故障などで車が自走できなくなった際に、提携業者が現場に出動し、修理工場や指定場所まで車を搬送します。
主な補償内容は以下の通りです。
- 事故・故障で自力走行不能となった車の搬送費用
- 現場から修理工場・自宅などへのけん引(レッカー)費用
- レッカー業者の出張費・作業費・けん引中の安全確保費用
- 保険会社提携修理工場までの距離制限なし搬送(多くの会社で採用)
- 契約者指定の工場・自宅までのけん引も一定距離までは無料
つまり、「修理不能」「走行不可能」と判断された場合、現場から安全な場所まで車を運ぶ費用が全額または一部補償されます。
無料搬送距離の目安(距離制限型)
レッカー移動サービスには「無料搬送距離」が設定されています。
保険会社ごとに異なりますが、一般的な目安は次の通りです。
| 保険会社区分 | 無料搬送距離(契約者指定先) | 指定修理工場までの搬送 |
|---|---|---|
| A社(例:ソニー損保) | 50kmまで無料 | 提携修理工場まで無制限 |
| B社(例:チューリッヒ) | 100kmまで無料 | 提携工場まで無制限 |
| C社(例:損保ジャパン) | 150kmまで無料 | 提携工場まで無制限 |
| D社(例:三井住友海上) | 1事故あたり15万円まで無料 | 条件により距離制限なし |
このように、保険会社指定の修理工場を搬送先に選べば、ほとんどの場合は「距離無制限で無料」になります。
一方で、契約者が自分で指定した修理工場や自宅を選ぶと、50〜150kmを超えた部分は自己負担となるケースが多いです。
金額上限型の補償方式
距離制限の代わりに、「費用の上限金額」で補償を設定している保険会社もあります。
- 例1:1事故あたり15万円まで無料(超過分は自己負担)
- 例2:上限金額20万円まで搬送費用を補償
- 例3:基本料金+けん引距離1kmあたり○○円まで保険会社負担
このタイプは、長距離搬送時の柔軟性が高く、遠方で故障しても15万円以内で収まる範囲なら無料で利用できるという仕組みです。
搬送距離や夜間作業費で上限を超える場合は、追加分を自己負担する必要があります。
指定修理工場への搬送は「距離無制限」が主流
多くの損害保険会社では、自社または提携修理工場へ搬送する場合に限り、距離無制限で無料というサービスを採用しています。
- 契約者の最寄りの提携工場へ搬送 → 無料
- 長距離ドライブ先(例:他県)でも提携工場があれば無料搬送可能
- 保険会社が修理・代車手配を一括対応
この仕組みを利用すれば、旅行先や出張先で故障しても、追加費用なしで安全に車を預けられるのが大きなメリットです。
契約者指定先への搬送の扱い
契約者が自分で修理工場を指定した場合(行きつけの整備工場・自宅など)、無料搬送距離を超えると次のように費用が発生します。
- 50〜150kmを超えた部分は1kmあたり500〜800円程度の自己負担
- 高速道路・フェリーなどを利用した場合は別途実費請求
- 夜間・悪天候時の作業料も加算されることがある
そのため、遠方でトラブルが起きた場合は「保険会社指定工場」を選ぶ方が費用を抑えられる傾向があります。
対応時間と回数制限
- 24時間365日対応が基本(多くの保険会社で採用)
- 年間利用回数:無制限(ただし同一トラブルの繰り返しは対象外の場合あり)
- 1回の事故・故障につき1回のレッカー対応が原則
また、保険料等級(ノンフリート等級)に影響しない「ノーカウント事故」として扱われるため、安心して利用できます。
補償対象に含まれる費用項目
レッカー移動サービスには、単なる「けん引費用」以外にも、次のような付帯作業費が含まれていることがあります。
- 出張費・現場出動費
- 車両引き上げ・積み込み作業費
- 安全確保措置(道路標識設置・信号誘導など)
- 夜間・休日対応費用(会社によっては上限付きで無料)
車両の保管料(修理開始までの一時預かり)や高速道路利用料などは補償外のケースが多い点に注意が必要です。
無料範囲を超えるケースの費用目安
無料距離を超えた場合の追加費用は、一般的に以下のような目安となります。
| 内容 | 自己負担目安 |
|---|---|
| 無料距離超過分 | 1kmあたり500〜800円 |
| 高速道路通行料 | 実費 |
| 夜間・悪天候作業料 | 数千円程度加算 |
| 島嶼部への搬送 | フェリー費用+作業費 |
このため、長距離搬送を希望する場合は、事前にロードサービス窓口で「費用見積り」を確認するのが望ましいです。
レッカー費用が無料になる条件
以下の条件を満たすと、基本的に費用はすべて無料になります。
- 事故・故障で車が自走不能
- 保険会社のロードサービスセンターを通して業者を手配
- 保険会社指定の修理工場を搬送先に指定
- 無料距離または上限金額の範囲内
自己判断でレッカーを依頼した場合や、対象外車両(商用車・車検切れ車など)の場合は、保険適用外となるため注意が必要です。
レッカー移動以外の関連補償(セット内容)
保険会社によっては、レッカー移動と合わせて以下のような補償もセットになっています。
- 現場応急対応費(バッテリー上がり・スペアタイヤ交換)
- 燃料切れ時の無料給油(10Lまでなど)
- 宿泊・帰宅費用補償(遠方でのトラブル時)
- 代車・レンタカー費用補償
これらを組み合わせることで、レッカー移動後もスムーズに帰宅や修理手配が行えるよう設計されています。
代表的な保険会社の無料搬送距離比較(目安)
| 保険会社 | 無料搬送距離 | 特徴 |
|---|---|---|
| ソニー損保 | 50km | 指定工場まで無制限搬送可 |
| チューリッヒ保険 | 100km | 指定外工場も広範囲対応 |
| 損保ジャパン | 150km | 高速道路対応・全国提携ネットワーク |
| 三井住友海上 | 上限15万円 | 距離より金額重視型 |
| SBI損保 | 100km | 保険料に含まれる基本補償 |
| 東京海上日動 | 50km | 拠点数が多く迅速対応 |
【注意点】
- レッカー搬送先は必ずロードサービス窓口を通して指定する
- 無料範囲は「直線距離」ではなく「走行距離」で計算される
- 無料範囲内でも山間部・離島は対象外エリアとなる場合あり
- 走行可能と判断された場合(軽微な損傷など)は対象外



利用手順
レッカー移動サービスは「連絡→手配→搬送→引き渡し→精算」の流れを正しく踏むことで、ムダな待ち時間や自己負担を最小限にできます。
ここでは、事故・故障の直後からレッカー完了までの具体的な手順を、現場でそのまま使えるレベルで整理します。
現場の安全確保(最優先)
- ハザードランプ・三角停止表示板・夜間は発炎筒(可能なら)
- 乗員はガードレール外など安全地帯へ退避
- 高速道路は非常駐車帯へ停車→非常電話または保険窓口へ連絡
- ガソリン臭・発煙などがあればエンジン停止・車外退避
ロードサービス窓口へ連絡
- 保険証券・アプリ・会員カードに記載の専用ダイヤルへ
- 自己手配は原則NG(保険適用外や実費精算になりやすい)
- 可能ならスピーカー通話で、次の情報を順に伝える
連絡時に伝える必要情報(テンプレ)
- 「契約者名」「登録ナンバー」「連絡先(携帯)」
- 正確な位置(高速は上下線・キロポスト、一般道は目印や住所目安)
- 車の状態:自走可否/警告灯/液漏れ・異音/タイヤ・足回り損傷
- 事象:事故・故障・水没・脱輪・鍵閉じ込み・燃料切れ など
- 同乗者の有無・安全確保状況
- 希望搬送先(なければ「最寄りの指定工場で可」と伝えるのが早い)
手配内容の確認(費用・距離・到着目安)
- 無料条件:指定工場なら距離無制限/指定先なら50–150km無料など
- 追加費用の有無:無料距離超過、夜間・高速作業料、フェリー・有料道路
- 到着予定時刻(ETA)と業者名・担当者連絡先
- レンタカー・代車・宿泊/帰宅費用など付帯補償の対象可否
費用は「誰が」「どこまで」負担かをその場で明確化。見積もり金額と無料範囲を書き留める。
待機中にしておくこと
- 車検証・自賠責・任意保険証券(アプリ可)を手元に
- ドライブレコーダー・貴重品・チャイルドシート等は先に車外へ
- 積載車搬入のため、周囲の安全確保と待機位置の確認
- 高速道路はガードレール外で待機(車内待機は避ける)
到着後の作業立ち合い
- 業者の身分・会社名を確認
- けん引・積載方法(フック位置・ウインチ・ドーリー使用)を説明受領
- 既存損傷の有無を双方確認(写真を撮っておくと安心)
- 行き先住所・休業時間・工場受入可否を再確認
搬送先の選び方
- スピード重視:保険会社の指定工場(無制限/無料が多く、段取りが早い)
- こだわり工場:行きつけの整備工場やディーラー(無料距離を要確認)
- 自宅:長距離は自己負担が増えがち。翌営業日の再搬送が必要になる場合も
引き渡し・書類関係
- 作業伝票(レッカー距離、作業内容、発生費用)を確認しサイン
- 追加費用が発生した場合の支払い方法(現地/後日請求)
- 修理見積りの連絡先・希望連絡時間を工場に共有
- 任意保険の事故受付番号を工場に伝えると手続きがスムーズ
その後の流れ(アフター対応)
- 事故の場合:相手方・警察・保険会社(事故担当)との連絡継続
- 故障の場合:工場の診断→見積→保険適用可否の確認
- 代車・レンタカー・帰宅手段・宿泊費の手配と補償範囲を確認
- 等級影響:レッカーのみはノーカウントのケースが多い(契約で要確認)
高速道路・夜間・悪天候の特記事項
- 高速:非常電話→NEXCO指示 or 保険窓口。作業は規定上の特別料金が付きやすい
- 夜間・荒天:到着遅延や現場作業制約あり。安全優先で警察同時連絡も検討
- 水没・冠水:再始動厳禁。電装損傷拡大を避け、レッカー一択
【よくあるNGと回避策】
- 自己手配してしまう:保険適用外になり高額化→必ず窓口経由で手配
- 無料距離の超過見落とし:後日高額請求→距離・金額を事前確認
- 車内貴重品置き忘れ:積載後の取り出し不可→搬送前に回収
- 搬送先の営業時間未確認:受入不可で二重保管料→事前に開閉時間確認
【現場ですぐ使えるチェックリスト】
- 安全確保(ハザード/停止表示/退避)
- 保険窓口へ通話→位置・状態・希望先・費用条件を共有
- 無料範囲・追加費用・ETA・業者名をメモ
- 車検証・保険・貴重品・ドラレコデータの回収
- 到着後は作業内容と車両状態を相互確認→伝票控えを受領
事前準備(平時にやっておくと安心)
- 保険アプリのロードサービスボタンの位置確認
- 無料搬送距離(指定工場/指定先)の把握
- 行きつけ工場の営業時間・連絡先のメモ
- 三角表示板・手袋・モバイルバッテリーの車載
【付帯サービスの賢い使い方】
- 現場応急(ジャンプ、スペア交換、鍵開け、燃料補給)を先に依頼
- 遠方なら宿泊・帰宅費用補償や代車手配の可否を同時確認
- 事故時は事故受付番号を必ず控え、修理工場へ共有
サービス利用時の注意点
レッカー移動サービスは、事故や故障で車が動かなくなったときに頼れる非常に便利なサポートですが、利用時にはいくつかの注意点や制約があります。
保険会社への連絡方法や搬送距離の制限を誤ると、せっかくの無料サービスが自己負担になることもあります。ここでは、レッカー移動サービスを安全かつ確実に利用するための注意点を詳しく解説します。
自己判断でレッカーを依頼しない
最も重要なのは、必ず保険会社のロードサービス窓口を通して手配することです。
- 自分でレッカー業者を呼んだ場合、その費用は保険適用外となるケースが多い
- 保険会社を経由せずに依頼すると「対象外の作業」とみなされ、数万円〜十数万円の請求になることもある
- 事故・故障現場では、まず保険会社の緊急連絡先に電話するのが鉄則
例外として、夜間・通信圏外などでやむを得ず自己手配した場合でも、事後申請で補償対象外になるケースがほとんどです。
無料搬送距離を超えると費用が発生
多くの保険会社では、無料搬送距離に上限があります。
- 契約者指定工場まで:50〜150kmまで無料
- 保険会社指定工場まで:距離無制限が主流
この無料範囲を超えると、1kmあたり500〜800円程度の追加費用が発生します。
また、有料道路・フェリー・夜間作業料などは別途実費となる場合があるため、搬送先を選ぶ前に費用見積もりを確認しておくことが大切です。
指定工場と契約者指定工場の違いを理解する
- 指定工場(保険会社提携先)
→ 無料距離無制限。搬送・修理・代車手配までスムーズ。 - 契約者指定工場(ディーラー・地元整備工場など)
→ 無料距離は50〜150kmが上限。それを超えると自己負担。
指定外工場を選ぶときは、「距離」「営業時間」「受け入れ可否」を事前に確認しましょう。
現場の状況を正確に伝える
連絡時に伝える情報が不正確だと、到着が遅れたり、必要な装備を持たない業者が来て再手配になることもあります。
- 事故・故障の発生場所(住所・道路名・キロポストなど)
- 車の状態(動かない、タイヤ破損、エンジン始動不可など)
- 走行の可否・安全な待機場所の有無
- 希望の搬送先(なければ保険会社指定工場で対応可能)
事前情報が正確であるほど、現場対応がスムーズになり、待ち時間を減らせます。
搬送先の営業時間・受け入れ体制を確認
レッカー移動先の修理工場やディーラーが営業時間外の場合、車を預けられずに一時保管料が発生することがあります。
- 夜間・休日は工場が閉まっている可能性あり
- 保険会社指定工場なら「夜間預かり対応」が多く安心
- 契約者指定工場を選ぶ場合は、営業時間を事前に確認しておく
走行可能と判断されると対象外
レッカー移動サービスは、あくまで**「自力走行不能」な状態**が対象です。
以下のようなケースは対象外になることがあります。
- 軽微な損傷(バンパー擦り傷・ライト割れなど)で走行可能な場合
- 応急修理で走行が可能になった場合
- 故障後に自走しようとしてさらに損傷を悪化させた場合
走行に不安があるときは、「安全走行できない」と伝えて相談するのが無難です。
保険の等級に影響しないが「利用履歴」は残る
レッカー移動サービスの利用は、通常はノーカウント事故として扱われるため、等級(割引率)には影響しません。
ただし、次のような注意点があります。
- 保険会社によっては「利用履歴」が残り、将来的な審査や再契約時に参照される
- 事故と併用して利用した場合は、事故処理として等級ダウンの対象になることもある
純粋なレッカー利用(単独の故障など)なら影響しないケースがほとんどです。
【高速道路上での利用時は特別料金に注意】
高速道路上でトラブルが発生した場合は、高速道路管理会社(NEXCO)指定業者が優先して出動します。
- 通常よりも作業料・安全確保費が高額(例:1〜2万円上乗せ)
- 保険会社提携業者が入れないエリアもある
- 有料道路利用料は原則自己負担
高速道路で停止した場合は、非常電話または保険会社への連絡が第一です。
夜間・悪天候・災害時は対応が遅れる可能性
- 大雨・大雪・台風時は出動制限がかかる場合あり
- 山間部・離島などでは業者到着まで1〜2時間以上かかることも
- 夜間は対応拠点が減り、到着が遅れる傾向
このようなときは、保険会社から到着予定時刻(ETA)を聞き、車内待機せず安全な場所で待つのが原則です。
レッカー中の車両損傷は写真で記録
搬送中のトラブルを避けるため、作業前後で車の状態を撮影しておくと安心です。
- 車体前後・タイヤ周り・下回りを撮影
- 搬送前にスタッフと現状確認を行う
- レッカー後に損傷を発見した場合は、即座に保険会社へ報告
【商用車・車検切れ・一部特殊車両は対象外】
以下の車両は、レッカー移動サービスの対象外となる場合があります。
- 商用トラック・営業用車両・レンタカー
- 車検切れ車・整備不良車
- 違法改造車・レース仕様車
- 一部輸入車・キャンピングカー(要確認)
契約時に「対象車両範囲」を必ず確認しておくことが大切です。
保険契約者と運転者が異なる場合
契約車両であっても、運転者が家族以外の場合(友人・同僚など)には、ロードサービスが適用されない場合があります。
「誰が運転していても対象」か、「契約者本人・家族限定」かを事前に確認しておきましょう。
応急処置サービスとの併用ルール
レッカー搬送前に「現場での応急対応(ジャンプスタート・スペアタイヤ交換)」が行われる場合、応急対応とレッカーの両方を同時に利用できるかは会社によって異なります。
応急対応で解決できないときのみレッカー搬送が適用されるケースが多いため、状況を正確に伝えることが重要です。
【複数回利用時の制限】
- 年間の利用回数に制限を設けている保険会社もある(例:年2〜3回まで無料)
- 頻繁な利用は「異常使用」として次回契約で条件が変更されることもある
一度利用した後は、契約条件を再確認しておきましょう。
【利用後の確認事項】
- 搬送先で発生した修理費用・部品代はロードサービスの補償外
- レッカー完了後、作業伝票・距離・費用明細を必ず受け取る
- 保険会社への報告内容と一致しているか確認する
レッカー移動サービスの主なメリット
車のトラブルは突然発生します。事故や故障で車が動かなくなったとき、ドライバーが最も困るのは「車をどう移動させるか」という問題です。
自動車保険に付帯する「レッカー移動サービス」は、こうした緊急時に強力なサポートを提供します。
単に車をけん引するだけでなく、費用負担の軽減や精神的な安心にも大きく貢献します。ここでは、レッカー移動サービスの主なメリットを詳しく解説します。
緊急時でも迅速に車を安全移動できる
事故や故障で車が動かなくなった場合、自力で対応するのは非常に危険です。
レッカー移動サービスを利用すれば、保険会社が24時間365日対応でレッカー業者を手配してくれるため、夜間や高速道路上などでも迅速な対応が可能です。
- 高速道路や幹線道路上でも安全に車両を撤去できる
- 保険会社が信頼できる提携業者を手配してくれる
- 現場での交通妨害や二次事故を防止できる
特に、交通量の多い場所でのトラブル時には、このスピード対応が大きな安心につながります。
無料で利用できる範囲が広く、費用負担を軽減
通常、レッカー移動を業者へ直接依頼した場合、10km程度のけん引でも1万円以上かかることがあります。
しかし保険会社のレッカー移動サービスを利用すれば、以下のような条件で無料または格安で搬送してもらえます。
- 指定修理工場まで:距離無制限で無料
- 契約者指定工場まで:50〜150kmまで無料
- 上限金額制の場合:1事故あたり15万円まで無料
万一のトラブルでも「高額なレッカー費用を自己負担する必要がない」ことが最大のメリットです。
保険会社による一括手配で手間がかからない
事故や故障時は気が動転し、業者探しや搬送先の手配を自分で行うのは困難です。
レッカー移動サービスを利用すれば、保険会社がすべてを一括で手配してくれます。
- レッカー業者の選定・派遣
- 修理工場の手配
- 代車・宿泊・帰宅サポートの案内
- 事故対応部門との連携
ドライバーは電話一本で済み、現場での対応負担が最小限になります。
等級(保険料)に影響しないケースが多い
レッカー移動サービスを利用しても、通常はノーカウント事故(等級ダウンなし)として扱われます。
- 単なる故障やバッテリー上がり、冠水などによるレッカーは等級に影響しない
- 保険金支払いが発生しないため、次年度の保険料も上がらない
つまり、安心してサービスを利用できるというメリットがあります。
事故処理に伴ってレッカーを利用した場合は、事故対応として扱われることもあるため、契約条件を確認しておくと安心です。
長距離ドライブや旅行先でも安心
レッカー移動サービスは全国ネットワークで対応しているため、遠方や旅行先でも安心して利用できます。
- 出張・帰省・旅行中にトラブルが起きても、最寄りの提携工場へ搬送可能
- 無料距離が長い保険会社なら、県をまたぐ搬送でも費用負担ゼロ
- 保険会社が宿泊・帰宅費用補償を提供する場合もあり
特に長距離運転が多いドライバーにとって、移動中の不安を大幅に減らせます。
夜間・休日でも対応可能
多くの保険会社が24時間365日体制でレッカー対応を行っており、夜間や祝日でも連絡すれば業者を手配してくれます。
- 深夜や休日でも電話一本で対応可能
- 提携修理工場の「夜間一時保管サービス」により、営業時間外でも搬入可
- 家族が運転していた場合でも、契約条件により補償対象となる場合あり
時間帯を問わず常に安心して車を利用できます。
高速道路や危険地帯での安全確保
高速道路上や交通量の多い幹線道路では、車が停止するだけで非常に危険です。
レッカー移動サービスなら、道路管理会社(NEXCO)や警察と連携した安全搬送が行われます。
- プロの業者が安全な位置まで車をけん引
- 作業車両による交通整理・照明設置なども実施
- ドライバーや同乗者の二次被害防止
自力での危険な移動作業を避けることができます。
応急処置サービスとの連携がスムーズ
レッカー移動サービスは、多くの保険会社で応急対応(バッテリー上がり・スペアタイヤ交換・燃料補給など)とセットで提供されています。
- 応急対応で解決しなければ、そのままレッカー搬送へ切り替
- 1回の通報で、すべての作業を完結できる
- 余計な出張費や手配時間を削減
現場での対応が一貫して行われる点も大きなメリットです。
精神的な安心感を得られる
車が動かなくなると、多くの人は焦りや不安を感じます。
特に夜間や家族連れの場合は、早く安全な場所に移動したいという心理的負担も大きいです。
レッカー移動サービスを利用すれば、
- 保険会社が迅速に対応してくれる安心感
- 知らない土地でもサポートを受けられる信頼感
- 家族の安全を確保できる心強さ
といった「心理的な支え」を得ることができます。
二次的トラブルを防止できる
レッカー搬送によって車を早期に移動させることで、以下のような二次被害を防ぐことができます。
- 放置による車上荒らし・盗難リスクの回避
- 通行妨害・二次事故の防止
- 故障拡大や電装ショートの防止
結果として、安全性・費用負担・トラブル防止の三拍子がそろうのがレッカー移動サービスの大きな魅力です。
保険会社による事故後対応がスムーズ
レッカー搬送先が保険会社指定の修理工場であれば、そのまま事故処理・見積・修理・代車手配までワンストップで完結します。
- 保険担当部署と整備工場が直接連携
- 見積・修理の進捗がオンラインで確認できる場合も
- ドライバーが複数の窓口に連絡する手間が不要
特に事故時には、保険会社のネットワークを活用することで対応スピードが格段に向上します。
追加費用が発生しても明朗会計
保険会社を通して手配するため、料金体系が明確で、トラブルになることが少ない点も安心です。
- 無料距離を超えた分の単価(1kmあたりいくら)が事前に説明される
- 夜間・高速・離島などの特別料金も明記される
- 作業後に「距離・金額・作業内容」が記載された明細書が必ず発行
個人で業者を探す場合に比べ、料金トラブルや不当請求のリスクを回避できます。
このように、レッカー移動サービスには「経済的メリット」と「安全・心理的メリット」の両面があります。
特に長距離運転や夜間走行が多い人にとっては、保険に付帯するサービスの中でも最も実用性が高い補償のひとつといえるでしょう。

