車を所有していると、日常生活の中でさまざまなトラブルに直面することがあります。
たとえば、朝の出勤時にエンジンがかからない、旅行先でタイヤがパンクしてしまった、夜道でガソリンが切れてしまったなど、思いがけないトラブルはいつ起こるかわかりません。
そんなときに心強い味方となるのが、自動車保険に付帯されている「ロードサービス」です。
このロードサービスは、保険会社が契約者に代わってトラブル現場まで駆けつけ、応急処置や搬送などのサポートを行ってくれる仕組みです。
もしもの時にすぐ対応してもらえるため、ドライバーにとって非常に頼りになる存在です。 また、ロードサービスは「無料で利用できる範囲」や「サポート内容」が保険会社によって異なる点も特徴です。
どのようなサービスが受けられるのかを正しく理解しておくことで、いざという時に慌てず、安心して行動することができます。
ここでは、自動車保険のロードサービスの内容や、各保険会社の違い、利用時の注意点について詳しく解説していきます。


ロードサービスの基本的な内容
自動車保険のロードサービスとは、契約している保険会社が、運転中や駐車中に発生した車のトラブルに対して、現場までスタッフを派遣し、応急処置や車両搬送などを行うサービスです。
万一の際にドライバーが安心して対応できるよう、ほとんどの自動車保険には標準または特約として付帯されています。
ロードサービスには多岐にわたる内容がありますが、主なサポート内容は以下の通りです。
1. レッカー移動サービス
事故や故障により自走できなくなった車を、指定の修理工場やディーラーまで搬送してくれるサービスです。
多くの保険会社では一定距離までは無料で対応し、それを超える場合は実費負担となります。
- 無料レッカー移動距離の例
- 東京海上日動:50kmまで無料
- ソニー損保:無制限(契約条件による)
- 楽天損保:30kmまで無料
レッカー先は、契約者自身が指定することも可能で、保険会社が提携している修理工場を紹介してもらうこともできます。
また、事故現場が高速道路上の場合でも、原則として現場まで出動してもらえる点が安心です。

2. バッテリー上がり対応
ライトの消し忘れや長時間のエンジン停止によってバッテリーが上がり、エンジンがかからなくなった場合に対応するサービスです。
専門スタッフが現場に駆けつけ、ブースターケーブルを使ってエンジンを始動してくれます。基本的に作業費用は無料ですが、バッテリー交換が必要な場合の部品代は自己負担になるケースが多いです。
また、ハイブリッド車やEV(電気自動車)に対応しているかどうかも保険会社によって異なります。

3. パンク修理・タイヤ交換サービス
走行中に釘を踏んだり、段差でタイヤが破損した場合などに対応してくれるサービスです。
- スペアタイヤがある場合:その場で交換してもらえる。
- パンク修理が可能な場合:応急修理をしてもらえることもある。
- スペアタイヤがない場合:レッカー移動で修理工場まで搬送してもらえる。
ただし、タイヤの損傷が大きい場合や、特殊タイヤ(ランフラットタイヤ等)の場合は、現場での修理が難しいケースもあります。

4. 燃料切れ時の給油サービス
燃料切れで走行不能になった場合、スタッフが現場まで燃料を持ってきてくれるサービスです。
初回の燃料費および出張費は無料の場合が多く、補給量には上限があります。
- 無料で補給される量の目安:10リットルまで
- 有料となるケース:2回目以降の出動、長距離移動を伴う場合など
ガソリン車・ディーゼル車に対応していますが、LPガス車やEV車の場合は対象外になることがあります。


5. キー閉じ込み(インロック)開錠サービス
うっかり車の鍵を車内に閉じ込めてしまった場合に、専門のスタッフが開錠作業を行うサービスです。ピッキングや専用工具を使用してドアを開けてくれます。
なお、車のセキュリティシステムによっては、対応できる鍵の種類に制限があることもあります。
スマートキーや電子キーの場合、開錠に時間がかかる場合や、メーカーへの確認が必要となることがあります。

6. 脱輪・スタック引き上げサービス
雪道やぬかるみ、段差などでタイヤが空転し、車が動かなくなった場合に、車を引き上げてくれるサービスです。
- 対応範囲の目安:タイヤ1本まで無料対応
- タイヤ2本以上の脱輪、または牽引が必要な場合:追加料金が発生する場合あり
また、積雪地域などでは、ロードサービス会社がチェーン着脱や除雪をサポートする場合もあります。

7. 宿泊・帰宅費用サポート
遠方で事故や故障が発生し、その日のうちに帰宅できない場合に、宿泊費や交通費を補償してくれる制度です。
- 宿泊費補償:1泊分のホテル代を上限額内で補償
- 帰宅費補償:公共交通機関の実費を補償
- 修理後の車引取り費用:車を取りに行くための交通費を一部補償
このサービスは、長距離ドライブや旅行中のトラブル時に非常に助かります。
ただし、宿泊・交通費の上限額は保険会社ごとに設定されています。

8. 代車・レンタカー手配
事故や故障で車が使えなくなった場合、修理期間中に代車やレンタカーを手配してもらえるケースもあります。
代車費用が無料かどうかは契約内容によりますが、提携レンタカー会社を紹介してもらえる点は共通しています。
このように、自動車保険のロードサービスは、単なるレッカー移動だけでなく、日常的なトラブルから長距離ドライブ時の緊急対応まで幅広くカバーしています。

契約内容を確認し、どこまでサポートされるのかを把握しておくことが、安心ドライブの第一歩といえるでしょう。
保険会社ごとの主な違い
自動車保険のロードサービスは、どの保険会社でも基本的な内容は共通していますが、「無料レッカー距離」「宿泊費の補償範囲」「24時間対応体制」「アプリ対応」など、細部において違いがあります。
ここでは、日本国内で代表的な自動車保険会社を中心に、ロードサービスの特徴を詳しく比較します。
1. 東京海上日動火災保険
特徴:
東京海上日動は、老舗の大手保険会社として全国的なネットワークと信頼性の高さが強みです。
ロードサービスも充実しており、トラブル発生時の対応スピードと現場力には定評があります。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:50kmまで無料(契約条件により拡大可能)
- バッテリー上がり、パンク、キー閉じ込みなど、一般的なトラブルにすべて対応
- 宿泊・帰宅費用サポート(1名あたり上限20,000円程度)
- 修理完了後の車両引取り費用を一部負担
- 24時間365日対応の専用窓口
- 全国に提携修理工場があり、地方でも対応が安定
迅速な現場対応と、宿泊・帰宅支援などトータルサポートが整っているため、ビジネス利用や長距離ドライブでも安心です。
2. 損保ジャパン
特徴:
損保ジャパンは、宿泊・帰宅などの「事故後の生活支援」に重点を置いたロードサービスが特徴的です。
家族全員が対象となるサポート範囲の広さも魅力です。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:60kmまで無料
- 宿泊・帰宅費用補償(1名あたり上限20,000円)
- 修理完了後の車両搬送サポート(修理工場→自宅)
- 自宅駐車場でのトラブルにも出動可能
- スマートフォンからの依頼対応(「ポータルアプリ」利用可)
事故後のフォロー体制が手厚く、特に旅行中や遠方出張時に頼りになる内容。
高齢ドライバーやファミリー層にも人気があります。
3. 三井住友海上火災保険
特徴:
三井住友海上は「対応の丁寧さ」と「修理・代車手配のスピード」で高い評価を得ています。
ロードサービスに加え、事故後の事務手続きや修理サポートの一体管理が特徴です。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:50kmまで無料
- 現場応急修理:30分以内の作業無料(バッテリー上がり・パンク・脱輪対応)
- 宿泊・帰宅支援サービスあり
- 代車・レンタカーの手配サポート
- 修理完了後の車配送サービス(条件あり)
ビジネス利用車や社用車ドライバーに人気。事故後も「ワンストップで対応してくれる」安心感が強みです。
4. ソニー損保
特徴:
ネット型保険の代表格で、利用者の満足度が高いことで知られています。
アプリや電話一本で迅速にロードサービスが依頼できる利便性が特徴です。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:無制限(修理工場が指定される場合)
- 24時間365日対応、専用アプリから依頼可能
- バッテリー上がり、キー閉じ込み、燃料切れなどはすべて無料対応
- 宿泊・帰宅サポート付き(実費補償型)
- EV(電気自動車)にも対応
デジタル対応が充実しており、スマートフォンで完結する点が現代的。トラブル時の連絡・進捗確認・完了報告までが一元管理されており、手間が少ない。
5. 楽天損保
特徴:
ネット型保険の中でも料金がリーズナブルで、コストパフォーマンスの良さが強みです。
必要十分なロードサービス内容を備えながら、シンプルな契約体系が魅力です。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:30kmまで無料
- バッテリー上がり、キー閉じ込み、パンク修理など標準対応
- 宿泊費・帰宅費用の補償(上限あり)
- 燃料切れ時の10リットル無料給油サービス
- 専用のロードサービス受付センターが24時間対応
コストを抑えながら基本的なサポートを確保したいドライバーに最適。楽天ポイント付与もあるため、日常生活での還元メリットも大きい。
6. AIG損保
特徴:
外資系保険会社として、グローバルなネットワークを活かしたサポートが魅力です。
海外出張が多いドライバーや外資系企業ユーザーにも人気があります。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:50kmまで無料
- 宿泊・帰宅費用補償(1名につき上限2万円)
- バッテリー、パンク、燃料切れ、脱輪など基本対応
- 専用アプリからのロードサービス申請可能
対応が迅速で、英語対応も可能。外資系企業ユーザーや外国人ドライバーにも利用しやすい内容です。
7. チューリッヒ保険
特徴:
ネット型保険の中でもロードサービスが特に充実しており、「距離無制限レッカー移動」を提供する数少ない保険会社の一つです。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:無制限(契約条件により)
- 宿泊費・帰宅費用補償あり
- バッテリー上がり、パンク、燃料切れ、脱輪対応すべて無料
- 専用コールセンターで24時間365日受付
特に長距離ドライバーや旅行好きのユーザーから高い支持を受けています。全国どこでも距離制限なしで搬送可能なのは大きな安心材料です。
8. イーデザイン損保
特徴:
東京海上グループのネット保険として、親会社のネットワークを活かした対応力が魅力です。
アプリによる迅速な対応と、事故時のデジタル処理がスムーズです。
主なサービス内容
- レッカー移動距離:60kmまで無料
- アプリ・チャットからのロードサービス依頼可能
- 宿泊・帰宅支援あり
- 修理工場との連携体制が強い
若年層やデジタル世代のユーザーに人気で、スマホ1台で事故対応を完結できる点が高く評価されています。
このように、各保険会社のロードサービスにはそれぞれの「得意分野」や「強み」があります。
距離や費用補償の違いだけでなく、「対応スピード」「アプリ対応」「全国ネットワークの広さ」といった実用面の差が、選ぶ際の重要なポイントとなります。

注意点
自動車保険のロードサービスは非常に便利な制度ですが、いざというときに「思っていた内容と違った」「無料だと思っていたのに費用がかかった」というトラブルも少なくありません。
サービス内容を正しく理解し、利用条件を把握しておくことで、スムーズかつ確実にサポートを受けることができます。
ここでは、ロードサービスを利用する際に特に注意すべきポイントを詳しく解説します。
1. 自動付帯か、特約加入が必要かを確認する
保険会社によっては、ロードサービスが自動的に付帯している場合と、特約(オプション)として追加加入が必要な場合があります。
たとえば、
- ネット型保険(ソニー損保・チューリッヒ・楽天損保など)は「自動付帯」が多い
- 代理店型保険(東京海上日動・損保ジャパン・三井住友海上など)は「特約扱い」の場合もある
契約プランによっても異なるため、
「どこまでが無料で、どの部分が有料になるのか」を保険証券やマイページで確認しておくことが大切です。
2. 無料レッカー移動距離の上限を把握する
レッカーサービスには「無料で運べる距離の上限」が設定されており、保険会社ごとに差があります。
たとえば、15km〜60kmまでが一般的ですが、無制限対応の会社もあります。
距離を超えた分は「1kmごとに数百円〜1,000円程度」の追加料金がかかる場合があります。
特に地方や高速道路上など、修理工場が遠い場所でトラブルが発生した場合、距離制限を超えるケースが少なくありません。
契約時に「自宅やよく行くエリアから最寄りの修理工場までの距離」を一度確認しておくと安心です。
3. 利用回数や内容に制限がある
ロードサービスは回数無制限で利用できるとは限りません。
保険会社によっては「年間○回まで」「同一内容は1回のみ」といった制限が設けられている場合があります。
たとえば、
- バッテリー上がり対応:年2回まで無料
- 燃料切れ給油:1年に1回まで無料
- 宿泊費補償:1回の事故・故障につき1泊分まで
この制限を超えると、2回目以降は自己負担になるケースがあるため、頻繁に利用する場合は注意が必要です。
4. 自宅駐車場でのトラブル対応の可否
保険会社によっては「自宅でのトラブル」が対象外となる場合があります。
特に、バッテリー上がりやキー閉じ込みが自宅敷地内で起きた場合、
「走行中または外出先でのトラブルに限る」とされている契約も存在します。
一方で、ソニー損保や損保ジャパンなどの一部保険会社では、自宅でのトラブルも対象に含まれています。
この違いは利用時に大きな影響を及ぼすため、契約条件を確認しておくことが重要です。
5. 宿泊・帰宅費用の上限と適用条件を確認
宿泊費や帰宅費のサポートがある場合でも、
「適用される条件」や「上限金額」が細かく定められています。
一般的な条件は次の通りです。
- 事故・故障により当日中に帰宅できない場合に適用
- 1泊分(上限2万円前後)の宿泊費を補償
- 公共交通機関の帰宅費を実費または上限額まで補償
ただし、利用する宿泊施設や交通手段は保険会社が指定する場合もあり、
「自分で予約したホテルは対象外」というケースもあります。
6. EV・ハイブリッド車の対応可否
近年増えている電気自動車(EV)やハイブリッド車では、
通常の車両と異なる構造のため、対応できるロードサービスが限られることがあります。
たとえば、
- 高電圧システムのため、現場でのバッテリー作業ができない
- 牽引の際に専用機材が必要
- 燃料切れの代わりに「充電切れ」対応は対象外になることが多い
EV・HV車を所有している場合は、「専用対応可」の保険会社を選ぶことが望ましいです。
7. JAF(日本自動車連盟)との違いを理解する
自動車保険のロードサービスと、JAF(日本自動車連盟)のサービスは似ていますが、カバー範囲が異なります。
| 比較項目 | 自動車保険のロードサービス | JAF(日本自動車連盟) |
|---|---|---|
| 利用対象 | 契約した車のみ | 会員本人が運転する車すべて |
| 費用 | 保険料に含まれる(無料) | 年会費制 |
| 出動範囲 | 契約条件により制限あり | 全国どこでも出動可 |
| 対応内容 | 基本的な応急処置中心 | 修理・特殊作業まで幅広く対応 |
特に「友人の車を運転中」や「レンタカー使用時」など、保険のロードサービスが使えない場面でも、JAF会員であれば対応してもらえます。
両方を併用することで、より広い範囲をカバーすることが可能です。
8. 有料となるケースに注意する
ロードサービスの多くは無料ですが、次のようなケースでは費用が発生します。
- レッカー移動距離が上限を超えた場合
- 作業時間が一定を超える特殊作業(例:深夜・雪中での脱出など)
- 部品代(バッテリー交換・タイヤ代・燃料代など)
- 高速道路上の出張対応(実費請求される場合あり)
「無料」と言われていても、作業内容によっては自己負担が発生するため、
出動前に費用の目安を確認しておくことをおすすめします。
9. 事故現場での利用と保険金請求との関係
事故後にロードサービスを利用する場合、「修理工場への搬送」「現場での応急処置」などはサービス対象ですが、保険金の支払い対象とは別扱いになることがあります。
つまり、
- ロードサービスの利用は「保険金請求」には影響しない
- ただし「事故扱い」の記録は残る場合がある
事故後に複数の保険を利用する際(例:車両保険+ロードサービス)は、
保険会社に事前に連絡し、正しい手順で申請することが重要です。
10. 夜間や休日の対応体制を確認する
多くの保険会社は「24時間365日対応」を掲げていますが、
実際には夜間・休日は提携業者への委託対応となることもあります。
そのため、
- 出動までの所要時間
- 対応エリア
- 深夜対応の有無
などに違いが生じる可能性があります。契約時に「ロードサービスセンターの連絡先」と「受付時間」をメモしておくと、緊急時に役立ちます。
このように、ロードサービスは非常に便利で心強いサポートですが、“無料”という言葉に安心しすぎず、利用条件・回数・距離・対応範囲を正確に把握しておくことが何より大切です。
ロードサービスを活用するポイント
自動車保険のロードサービスは、契約しているだけでは十分に活かしきれません。
実際のトラブル時に冷静に対応し、スムーズにサービスを受けるためには、事前の準備と正しい利用方法の理解が欠かせません。
ここでは、ロードサービスを最大限に活用するための実践的なポイントを詳しく紹介します。
1. 保険証券やマイページでサービス内容を事前に確認する
まず基本となるのは、「自分の契約内容を正確に把握しておくこと」です。
ロードサービスの内容は保険会社やプランによって異なり、同じ会社でも契約時期や等級によって条件が違うこともあります。
確認すべき主な項目は以下の通りです。
- レッカー移動の無料距離(例:15km、50km、無制限など)
- 無料で対応してもらえる作業内容(バッテリー上がり、キー閉じ込み、燃料切れなど)
- 宿泊費・帰宅費の上限額
- 対応できる車種(軽自動車・普通車・EV・輸入車など)
- 利用回数の制限(年間○回まで など)
- 自宅でのトラブルが対象かどうか
特に「どこまで無料か」「どんなときに有料になるのか」は、利用時の誤解が起きやすいポイントです。
契約時に保険会社のマイページやパンフレットで確認し、必要であれば特約を追加しておきましょう。
2. 緊急時にすぐ連絡できるように準備しておく
トラブル発生時に慌てないためには、「連絡先の確認」が非常に重要です。
多くの人が保険証券を車のダッシュボードに入れていますが、事故や故障時は冷静に探す余裕がないこともあります。
あらかじめ次のような準備をしておきましょう。
- ロードサービスの連絡先(電話番号)をスマートフォンに登録しておく
- 保険会社のアプリをインストールし、契約情報を連携しておく
- 緊急時に必要な情報(契約番号、車のナンバー、所在地)をメモしておく
また、アプリを利用すると、現在地を自動送信して出動要請ができる保険会社もあります(例:ソニー損保・イーデザイン損保など)。
連絡時のミスや説明の手間を省くことができるため、スマートフォン活用は非常に効果的です。
3. トラブル発生時は「安全確保」が最優先
ロードサービスを呼ぶ前に最も大切なのは、自分と同乗者の安全を確保することです。
特に高速道路上や交通量の多い道路でのトラブルでは、二次事故の危険が高まります。
安全確保の基本手順は次の通りです。
- 可能であれば車を路肩や安全な場所に停車させる
- ハザードランプを点灯し、後続車に注意を促す
- 夜間は三角表示板や発煙筒を設置する
- 同乗者は車内に残らず、安全な場所(ガードレールの外側など)へ避難する
- 安全を確保した後にロードサービスへ連絡する
高速道路上では、NEXCOなどの道路管理者にまず連絡し、安全が確保された後にロードサービスを呼ぶのが基本です。
4. 連絡時に正確な情報を伝える
ロードサービスに連絡する際は、スタッフが現場に到着するまでの時間や、必要な機材を判断できるよう、
できるだけ正確な情報を伝えることが重要です。
具体的には、以下の情報を整理して伝えるとスムーズです。
- 現在地(住所、または近くの目印や高速道路のキロポスト)
- 車種・ナンバー・色
- トラブルの内容(例:エンジンがかからない、タイヤがパンクした など)
- 事故か故障か(安全性に関わるため重要)
- 同乗者の有無
- レッカー希望先(修理工場や自宅など)
スマートフォンの位置情報機能を利用できる場合、GPSで位置を送信すると正確に伝わります。
5. 出動までの待ち時間を想定する
ロードサービスは、天候・交通状況・出動件数によって到着時間が変動します。
特に次のような状況では、到着まで30分〜1時間以上かかることもあります。
- 大雪・台風・大雨などの悪天候時
- 連休・年末年始などの交通量が多い時期
- 山間部や離島などの出動困難エリア
そのため、冬季などは防寒具や携帯充電器を車内に常備しておくと安心です。
また、エアコンを長時間使用するとバッテリーが上がることもあるため、待機中の電力消費にも注意しましょう。
6. 修理・レッカー先を事前に決めておく
レッカー移動が必要な場合、「どこに運ぶか」をすぐに決められるようにしておくとスムーズです。
主な選択肢は次の通りです。
- 契約しているディーラーや整備工場
- 保険会社提携の指定修理工場
- 自宅近くの整備業者
指定修理工場を利用すると、修理見積もり・代車手配・保険金手続きまでを一括で行ってもらえる場合もあります。
一方、特定のディーラーを希望する場合は、あらかじめその名称と住所をメモしておくと便利です。
7. 出動後の費用や対応範囲を必ず確認する
出動後の作業内容によっては、追加費用が発生することがあります。
たとえば、次のような場合です。
- レッカー距離が無料範囲を超える
- 特殊工具が必要な作業(電子キーの開錠など)
- 深夜対応・山道対応などで別途出張費が発生
そのため、現場スタッフが作業を始める前に「この作業は無料範囲内ですか?」と確認しておくことが重要です。
作業後のトラブルを防ぐため、口頭だけでなく、簡単なメモや明細を残しておくと安心です。
8. 定期的に契約内容を見直す
自動車保険は契約更新のたびにプランが変わることがあります。
また、車の買い替えや使用環境の変化により、必要なサービス内容も変わります。
たとえば、
- 通勤中心から長距離ドライブが増えた
- 新しい車がハイブリッド車や輸入車になった
- 家族が運転する機会が増えた
このような場合は、ロードサービスの「距離制限」や「対象車種」を見直すことで、無駄なく安心を確保できます。
年に一度、更新時に保険会社へ確認する習慣を持つとよいでしょう。
9. JAFなど他のサービスと併用しておく
自動車保険のロードサービスは非常に便利ですが、すべてのトラブルを網羅できるわけではありません。
JAF(日本自動車連盟)などの有料サービスと併用することで、より安心のサポート体制を築けます。
併用のメリットとしては、
- どんな車でも利用できる(友人の車やレンタカーも対象)
- 保険対象外の修理(雪道での埋まり、キー紛失など)にも対応
- 保険と異なり、利用回数制限がない
「保険+JAF」の併用は、特に長距離ドライバーや冬季に雪道を走る人におすすめの組み合わせです。
10. トラブル後のフォローを怠らない
ロードサービス利用後は、保険会社に報告し、必要に応じて修理・代車・保険金請求の手続きを行うことが重要です。
また、トラブルの原因が車両の整備不足(バッテリー老朽化・タイヤ摩耗など)である場合は、
修理後に再発防止のための点検を依頼することを忘れないようにしましょう。
ロードサービスは「その場をしのぐ」ためのものですが、根本的な整備と定期点検こそが、安全運転の基本です。
このように、ロードサービスは「契約しているだけ」ではなく、「いかに正しく使うか」が重要です。
事前の準備・的確な連絡・冷静な行動が、トラブル時の不安を最小限に抑え、安心した対応につながります。
拠点数はロードサービスの肝
自動車保険のロードサービスを選ぶ際、多くの人が「レッカー距離」や「無料対応内容」に注目しますが、意外と見落とされがちなのが「拠点数」です。
拠点数とは、保険会社やその提携ロードサービス業者が全国各地に設けているサービス対応拠点の数を指します。
この数が多いほど、トラブル発生時の出動スピードや対応範囲に大きな差が生まれます。 ここでは、ロードサービスにおける拠点数の意味、各保険会社の特徴、そして確認時のポイントについて詳しく解説します。
拠点数が重要とされる理由
ロードサービスの拠点数は、単なる数字ではなく「対応力の目安」となります。
トラブル時に現場までどれだけ早くスタッフが駆けつけられるか、またどの地域まで対応できるかを判断する材料になります。 拠点数が多い保険会社を選ぶことで、次のようなメリットが得られます。
- 出動までの時間が短くなりやすい
- 山間部や地方など、都市部以外でも対応が期待できる
- 修理工場やレッカー搬送先の選択肢が広がる
- トラブルの内容に応じた適切な対応が受けやすい
一方、拠点数が少ない場合は、出動が遅れる、距離超過による追加料金が発生する、といったリスクが高まります。
主な保険会社の拠点数と特徴
自動車保険会社ごとに、提携しているロードサービスのネットワーク規模には違いがあります。
以下は、国内主要保険会社が公表している拠点数と、それぞれの特徴を整理したものです。
東京海上日動
- 全国に広いネットワークを持ち、地方エリアでも対応が安定
- 専用のロードサービスセンターがあり、24時間365日対応
- 全国の提携修理工場との連携も強い
損保ジャパン
- 提携拠点は全国約9,000か所以上
- 宿泊・帰宅支援など「事故後の生活サポート」が充実
- 家族全員が利用できる体制が整っている
三井住友海上
- 全国約8,500拠点を確保
- 修理工場・代車手配のスピードが早く、法人契約にも強い
- 一般的なトラブルだけでなく、特殊車両にも対応可能
ソニー損保
- 全国約10,000か所のロードサービスネットワーク
- 24時間365日、アプリ・電話から出動要請が可能
- デジタル連携に強く、進行状況がスマートフォンで確認できる
チューリッヒ保険
- 全国約10,700か所のサービス拠点
- 無料レッカー移動距離が長く、遠方ドライブにも対応
- コールセンターが年中無休で対応し、外国語サポートもあり
イーデザイン損保
- 約8,100か所のサービス拠点
- 東京海上グループのネットワークを活用しており、対応品質が高い
- アプリを利用してGPS位置情報を送信するだけで出動要請が可能
楽天損保
- 約8,500拠点(過去公表数)を全国に展開
- コストパフォーマンス重視型ながら、基本的なロードサービスを網羅
- 料金を抑えながらも、主要なサポートが受けられる
【拠点数を確認する際のポイント】
単に「拠点数が多い保険会社」を選ぶだけではなく、以下の点をチェックしておくと、より実用的な比較が可能です。
- 自分の生活圏をカバーしているか
都市部・地方・高速道路・観光地など、よく走る地域で対応可能かを確認する。 - 「出動拠点」と「提携修理工場」を区別する
拠点数には、ロードサービスの出動拠点と修理工場の両方が含まれている場合がある。
出動スピードを重視するなら「現場対応拠点」の数を見るのがポイント。 - サービス内容とのバランスを考える
拠点数が多くても、無料距離や対応回数が少ないと使いづらい。
拠点数とサービス内容(無料範囲・距離制限など)を併せて確認することが重要。 - 最新情報であるかどうか
拠点数は保険会社の提携状況によって変動する。
古いパンフレットやサイト情報ではなく、最新の契約条件を確認する。
【拠点数が少ない場合に起こり得ること】
拠点数が少ない保険会社やプランでは、次のような不便が生じる可能性があります。
- 出動までの時間が長くなる
- 無料レッカー距離を超える可能性が高く、追加費用が発生する
- 地方・山間部・離島ではサービス対象外となることがある
- 提携修理工場が近くにないため、修理完了まで時間がかかる
特に長距離運転をする人や、旅行先で車を使う機会が多い人にとっては、拠点数の多さは「安心の目安」といえます。
【拠点数とサービスのバランスが大切】
拠点数はロードサービスの「対応力」を示す重要な指標ですが、それだけで優劣を判断するのは早計です。
実際には、以下の3つの要素を総合的に比較することがポイントです。
- 拠点数(出動ネットワークの広さ)
- 無料対応範囲(距離・回数・作業内容)
- 対応スピード(受付体制・アプリ対応など)
拠点が多い会社ほど、スムーズで広範な対応が期待できますが、自分の走行環境に合った保険会社を選ぶことが最も大切です。
